雑記 in hibernation

頭の整理と備忘録

マーケティングにおけるデータ分析の超ざっくり沿革

最近読んだ書籍の冒頭でマーケティング分野のデータ分析の沿革について非常に簡素にまとまって紹介されていたので、若干の意訳を加えつつ備忘録的に内容をメモ書きしときます。

超ざっくりですが、データの拡充により分析目的が多角化していく流れと、その背後で関連する技術範囲が標本抽出法や推計統計学から始まって回帰や時系列処理に展開しつつ、インターネットの登場で所謂PRML的な範囲に発展していく(&分析基盤もクラウド中心になってく)の流れが感じられると思います。

元ネタの書籍はこちら。

マーケティングのための統計分析

マーケティングのための統計分析

サンプリングの時代:「市場を知る」

マーケティングにおけるデータ分析の目的や手法は、時代と共に変化してきました。 マーケティングの黎明期において、調査・データ分析の主な目的は「市場の実態を知る」ことでした。つまり、例えば「売れ筋商品は何か」といった、市場で起きている現象そのものの把握です。この時代においては、主に標本調査が主な分析内容でした。この時代には、少量のサンプルで市場代表制を実現するため、効果的なサンプリングの手法が研究・応用されました。

その後高度経済成長の時代に入ると、大量消費の時代に伴う競合商品の増加により「製品の選択に影響を与える要因」つまり「なぜ売れているのか」に興味が写ります。こうした要因を推察するには市場の統計データだけでは不十分であり、インタビュー調査などの定性リサーチが行われるようになりました。また、消費者意識の多様化に伴い、顧客を類似する性質の集団に分類してセグメンテーションごとに解釈する考え方が定着しました。

(ID付き)POSシステムの時代:「顧客の嗜好を知る」

情報機器の発展に伴い、在庫・発注管理・レジ作業の効率化を目的としたPOSシステムが台頭します。POSシステムとは、商品のバーコードを読み取り、商品情報データベースを参照する事で販売管理を行うシステムを指します。POSシステムは効率的な在庫管理を目的として導入されたシステムではありましたが、これにより商品を単品単位で、いつ・どこで・どれだけ売れたか、といった情報が販売履歴データ(=POSデータ)として取得できるようになり、売れ筋(または死に筋)をより細かい粒度で把握できるようになりました。

POSシステムの導入に伴い、CRMのあり方も変化します。既存顧客を囲い込み・ロイヤリティの向上を目的に、ポイントカードの導入などに代表されるFSP(frequent shoppers program)が導入されるようになります。FSPでは顧客ごとにIDを割り振り、各々の購買情報を個別に管理する必要があります。結果として顧客個人単位の購買履歴である「ID付きPOSデータ」が得られるようになります。このようなデータは個別の顧客それぞれに最適なマーケティングアプローチを取ろうという「1to1マーケティング」の思想の基礎となります。

インターネットの時代:「顧客の行動を知る」

インターネットの普及に伴い、新たな販売チャネルとしてECが登場します。ECは地理的な商圏に影響されない一方、ECサイトにアクセスしてもらうための通知・広告・SEOなどといった実店舗とは異なる視点での戦略が求められます。

また、把握可能な顧客データのスコープにおいてもECは特徴的です。POSシステムで取得できる情報はあくまで購買が行われた結果のデータであるのに対し、インターネットではログデータをもとに購買に至るまでの顧客の行動を取得することができるのです。

このような特徴から、ECサイト上ではWeb上の行動履歴に基づくレコメンデーションやクチコミといった形で、マーケティングの手段として顧客の購買行動に至るまでのプロセスに対する新たなアプローチが加わるようになりました。

ビッグデータの時代:「顧客の生活を知る」(←今ココ)

2010年代に入り、センシングデバイスの発展やスマートフォンの普及に伴い、購買情報の他にも位置情報やSNSなどテキストデータ、画像データなどの多様で膨大な量のデータが高頻度で生成されるようになりました。いわゆるビッグデータです。

これにより、ハードウェア(設備)の面ではデータ活用のためにデータを蓄積できるストレージやデータ処理のための計算機が、ソフトウェア(技術)の面ではより高度なデータ処理・分析能力が必要とされるようになりました。同時に、取得した多様なデータをマーケティングや経営に活用して如何にして事業を構想・展開していくかという点で、より強くビジネスセンスが求められる時代となってきています。

おわりに

ざっと書いてみてから見直したら本当にざっくりすぎてびっくりしちゃった。