COVID-19は世界中で猛威をふるい、世界経済は混沌へと向かっています。人々が不安に駆られる日々を過ごす中、こんな時だからこそ自分にも何かできることがあるのではないか。どうにか社会に貢献したい一心で思慮を巡らせた結果、ペペロンチーノを作る時のコツを公開しようと思い至りました。今の僕にできることと言えば、レシピの共有とこまめな手洗いうがいくらいのものです。
ということで、ペペロンチーノをつくる時に僕が気をつけているポイントをまとめます。外出自粛の流れで自炊する方が急増中の今日この頃かと思います。この機会に是非、ご参考にどうぞ。
イラストはイメージ a.k.a 賑やかしです。
ペペロンチーノ合成獣
このレシピは種々の情報源から手軽に使えそうなテクニックを個人的に集約したものです。敢えて名を冠するのであれば”ペペロンチーノ合成獣(キメラ)”とでも呼びましょう。そして、このレシピはあくまでフレームワークと思ってください。最適解は個々人の味蕾に内在し、それ故にレシピそのものも媒介変数のチューンアップが行われることを前提とせざるを得ません。また、あなたがこの記事の「美味しいところ」だけをピックアップして別のレシピと配合し、新たなキメラを合成することも、僕は歓迎します。
材料(一人前)
● 麺:好みの種類を好みの量
個人的には細めの麺が合うと思っています。
● にんにく:好みの量
一片くらいが目安です
● オリーブオイル:好みの量
大さじ2杯くらいが目安です
● 鷹の爪:好みの量
● ベーコン:好みの量
ペペロンチーノは出汁も具材もなくほぼ塩のみでの味付けになるため、風味が淡白になりがちです。ベーコンを加えることで、脂や塩気の程よい風味を付加することができます。また、具材を入れすぎるとペペロンチーノ警察から指摘を受けるリスクが高まりますが、ベーコンはギリギリ合法とされる風潮があります。
● 塩:好みの量
最適な量はお湯の量と個人の好みに依存します。
これは料理を問わず言えることですが、普通の塩だとやや尖った味になります。岩塩などの高級でイケ好かない感じの塩を使うと柔らかい味になります。塩は茹でる時の熱湯などに結構多量に使用するので、僕の場合は安く済ませるために普通の食塩を使います。塩加減さえ間違えなければ十分美味しくなります。
● バジルなど好みのトッピング:好みの量
トッピングは警察の取り締まりを受けない程度の存在感のものにとどめましょう。
いや、ふざけてるとかでなく、真面目に書いて後で見返したら分量が全部「好みの量」になっていた。「好みのトッピングを好みの量」とか実質何も言っていないに等しいですね。もともとあらゆる分量を目分量ですませてるので、定量化しようと思ってもできない、という情けない事情もあります。
調理工程
1. 麺をゆでる
沸騰したお湯に塩を加えて麺を茹でます。この工程でのポイントは2つです。
■ 水は少なめ
後工程にて、麺を茹でた後のお湯を利用してソースをつくるのですが、この時に茹で汁に溶け出たでんぷんが濃いとソースを作りやすくなります。そのため、水は気持ち少なめ(普段の2/3くらい)が良いです。
■ 塩は多め
ここで加える塩には2つの意味があります。一つは麺自体に塩味をつけること、もう一つはソースの元となる茹で汁に塩味を加えることです。つまり、ここで加える塩分の塩味が完成品の塩加減を決定づけることになります。それを意識して、他のパスタを作る際よりも少し多めに塩を使います。個人的にはお湯にほんのり塩味がつくくらいの量がちょうどいいと思います。好みに応じて研究してください。
■ 麺は少し固め
面を茹であげた後、フライパンで軽く加熱することになります。その際、若干ですが麺が水分を吸うので、気持ち固めに茹でておくと吉です。ざっくりした目安は所定の時間の30秒〜1分前くらいです。これも好みに応じて研究してください。ちなみに、ジローラモは料理番組で10秒に1本くらい味見しながら最適な時間を測ってました。
隙あらば味見しよう
2. にんにくを切る
半分は薄切り、もう半分は微塵切りにします。薄切りのものはオリーブオイルの風味づけとして、微塵切りのほうは具材として使用します。フライパンに投入するタイミングが異なるので注意してください。
3. オリーブオイルでにんにくを炒める
フライパンにオリーブオイルと薄切りにしたにんにくを入れ、弱火で熱します。低い温度からじっくり熱していくことで、オリーブオイルににんにくの風味をしっかりと移すことができます。 最初は火が通っているように見えずじれったく感じるかもしれませんが、グッと堪えてじっくり待ちましょう。
4. にんにくを引き揚げ、その他具材を投入
にんにくが狐色になったら菜箸などで別の皿に取り分けます。このまま炒め続けると苦味が出るためです。
その後、茹で汁をお玉1杯分くらい、ベーコン、鷹の爪、みじんぎりのにんにくを入れて強火で炒めます。この時、フライパンをゆすり、具材をわしゃわしゃ混ぜながら炒めます。こうすると、茹で汁とオリーブオイルが混じって白濁してきます(乳化)。これがいい感じにキマると美味しくなります。逆にここで失敗すると水っぽくなったり脂っこくなったりします。一般的にこの料理の調理工程では最難関とされているポイントだと思います。気合い入れていきましょう。
5. 麺を投入
ベーコンに火が通ったくらいのタイミングを目安に、フライパンに麺を投入します。具材と麺を絡めつつ、麺を軽くわしゃわしゃします。ここも乳化チャンスではありますが、すでに茹で上がっている麺を投入している以上、深追いは厳禁です。麺が伸びないように軽く火を通すくらいのつもりで、10数秒程度サッと炒めれば良いです。具材と麺が絡まったらお皿に盛ります。
6. 好みでトッピング
風味づけに使った薄切りのにんにくをまぶします。カリッとした食感がアクセントになって良い感じになります。その他、好みでバジルや何やらをふったら完成です。
なお、追いオリーブオイルは不要に脂っこくなるので個人的にはおすすめしません。
実食
おめでとうございます。完成です。早速食べてみましょう。
おそらくですが、一口目でこうなったと思います
考えられる原因と対策を次項にトラブルシューティングとしてまとめますので、必要に応じてご参照ください。野郎の料理は獣道です。失敗してからが本番なのです。
トラブルシューティング
塩辛い
茹で汁に塩を入れすぎていることが原因です。今日の悔しさを忘れず、最適な加減を研究しましょう。
ちなみに僕も何度かこの工程で塩加減を誤り、食べた瞬間に血圧がステップ関数で立ち上がりそうな魔の代物を爆誕させたことがあります。麺が異常に塩辛くなってしまうと、もはや主食として消費するのは諦めるしかありません。いっそご飯のおかずか酒の肴として楽しんでみてはいかがでしょうか。
味薄い
茹で汁の塩不足が原因です。今日の悔しさを忘れず、最適な加減を研究しましょう。
なお、塩加減が足りない場合は調理途中に塩を加えることでフォロー可能ですが、思い切って別の料理にしてしまう手もあります。にんにくとオリーブオイルを炒めたものにとりあえずトマト缶をぶちまけておけばトマトソースパスタ風のものになります。醤油で和風に味付けしてもアリです。ペペロンチーノはパスタ界のイーブイと言っても過言ではありません。いくらでも派生の余地があり、無限の可能性を秘めています。
となると、この記事は「イーブイを進化させずにLV100まで育てよう」的な論旨になるのでしょうか。酔狂ですね。
麺硬い / 柔らかい
加熱時の吸水をある程度見越した上で、茹で上げる時間の見極めが大事です。研究しましょう。もしくはジローラモばりの頻度で硬さを味見しましょう。
水っぽい / 油っぽい
乳化に失敗しています。茹で汁投入後に火力を上げ(最初から強火で投入すると高確率で油が跳ねる)、強火でぐつぐつしながらわしゃわやるのがコツです。鍛錬しましょう。
まとめ
僕から伝えられることはこれで全てです。
満足のゆくものができるまでに何皿もの悲しき合成獣を錬成することになると思いますが、美味しいレシピとの等価交換だと思って頑張りましょう。
塩分過多による生活習慣病だけ気をつけてください。お大事にどうぞ。
ここまで読んで「普通にクックパッド見て作った方が無難だし有意義だな」と気づいた勘のいいガキは嫌いです。