雑記 in hibernation

頭の整理と備忘録

騙されたと思ってレゴムービーを観てくれ頼む

LEGO ムービー』という映画があります。レゴブロックをテーマにした全編CGアニメーション映画です。監督・脚本はあの『スパイダーマン: スパイダーバース』のクリス・ミラー&フィル・ロード

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で、この記事の趣旨なんですが、表題の通りです。おすすめの映画の話になるたび、僕は表題の文面をそっくりそのまま、幾度となく繰り返してきました。

しかし僕が把握している限り、実際に観てくれた人は未だに一人もいません。僕の信用度かレゴムービーの求心力かが極端に低いせいだと思われます。前者については掘り下げても悲しい気持ちになるだけなので棚に上げておきますが、後者については、まあ「所詮子供向けの販促映画」と思って見くびってしまう気持ちは確かにわかります。僕だってプリキュアの劇場版を熱心に勧められてもピンときませんから。しかし、ピクサーやディズニーが「大人の鑑賞に耐えうる」などというレベルをはるかに超えた名作を連発している今、いわゆる子供向けの作品に対して壁を作ってしまうのは些か勿体ないかも、という気もします。かく言う僕も、地上波深夜の映画枠で放送されていたのを偶然見つけ、小馬鹿にしつつ半笑いで観始めたところエンドロールが流れ出す頃には号泣していた、というのがこの作品との出会いだったりします。

ということで、前置きが無駄に長くなってしまいましたが、レゴムービーの魅力をアピールして行きます。wikiから引用しつつ「批評家筋にもこんなにウケてますのよ」とか「興行収入も大成功してますのよ」とかアピるのもThe 権威主義って感じで説得力があって悪くないんですが、せっかくなのでここは僕個人の感想として「映像」「ストーリー」「テーマ」の3点に絞って魅力を伝えていきたいと思います。


【映像】ブリックフィルム風の壮大な映像

レゴムービーの作品内世界では、主人公の身の回りのあらゆるものがレゴでできている設定です。建物や乗り物などの人工物はもちろんのこと、爆発やレーザービームのような不定形物や、背景の大自然に至るまでがレゴブロックにより再現されています。もちろん、登場人物達も基本的には関節の自由度が異常に少ないあのレゴ人形です。本作は3DCG作品ではありますが、このレゴでできた世界観を「ブリックフィルム」と呼ばれる、玩具のブロックを使ったストップモーションによる映像作品であるかのように仕上げています。

参考までに、ブリックフィルムの例です。 改めて観るとつくづくヤベェ作り込みだなあと思う。

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ところで、個人的にブリックフィルムという分野の魅力の一部は「(少なくとも素人目線では)気が遠くなるような撮影作業」というある種の身体性にあると思っているのですが、こうなってくると「CGで再現されるブリックフィルムに魅力はなど無いのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。「地道なコマ撮り作業があってなんぼやろ」と。それはまあ一理あるとも思うのですが、一方でレゴムービーの映像の魅力は「如何に忠実にブリックフィルムの質感を再現できたか」という、本家とはまた違ったポイントにあるのだと思っています。ブロックの質感再現のために限りなく「ガチ」な作り込みをしているのです。パーツのテカリやちょっとした凹凸のディティールに注目すると、ブロックの一つ一つがリアルな実在感もって描かれていることがわかると思います。このような、コマ撮りとはまた違った方向の気が遠くなるような細部の表現の積み重ねの先に、実写のようでありつつも実写では到底再現の不可能な、これまでに観たことのないような映像が出来上がったと。この映像表現がとにかく異質・圧巻なのです。

ちなみにこちら、メイキング映像です。コンピュータの中でレゴを組み立ててモデルを作っているみたい。

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【ストーリー】超王道・超丁寧・超楽しい

ストーリーはというと、これがもうド王道なプロットです。取り柄のない主人公がひょんなことからレジスタンスの救世主として見出され、体制側(=悪)に立ち向かうと、そんなマトリックス的ストーリーです。で、超王道なんですが、この超王道がめちゃめちゃ楽しいのです。その理由は、作りが非常に丁寧である、ということに尽きるでしょう。

伝わりにくいかもしれませんが、なるべくネタバレにならないような例をあげてみます。作中には想像力に溢れ、ブロックを使って多種多様なアイテムを創作することの出来るキャラクター達が登場します。その一方で、主人公はマニュアルがないと何も作ることができず、いざ自分のアイデアで何かを組み立てようとすればコンテンポラリーアート風味のサムシングが出来上がってしまう。それを周囲の登場人物に小馬鹿にされる件がギャグとしてあるのですが、その展開が後々のアクションやキャラクターの心情変化に効いてくるという、説得力のある流れになっています。

この映画のプロットは、そんな仕掛けが幾つも綿密に折り込まれて出来上がっています。ゆえに、絶え間なく小ネタが挟まれ、ギャグにケラケラ笑っているうちにその小ネタが伏線として回収され、流れるようにエモーショナルな展開・カタルシスに繋がっていくという。これはもう面白くない訳が無い。

ちなみに僕はクライマックスで宇宙飛行士が宇宙船を作るところで毎回ガチ泣きします。


【テーマ】これ以上は語れない

これについてはもう、多くは語れません。でもこれが一番熱いポイントなんです。ああもどかしい。観てくれ。

いやね、レゴという題材にこれほどまでに合致するテーマ設定があるのかと。レゴブロックそれ自体、玩具を超えて表現のツールとしての性格を強く持つ一方、キット化されマニュアルを付与されている側面もあります。レゴムービーとは、レゴというコンテンツがもつこうした「自由に創造すること」と「マニュアルに順ずること」という2面性をベースに描かれた広義のクリエイター讃歌なわけです。「広義の」と付け足したのは、これが所謂クリエイティブに関わる人だけでなく、自由意志で何かを為す全ての人を包含しているからです。そして最後にはクリエイティブな人にもそうでない人にもポジティブなメッセージが送られるという。全てが最高。


続編もあるよ

そう。レゴムービー2があるんです。2019年に公開されています。

しかしながら、とっても言いづらいんですが、これだけ推しに推しておいて僕まだ続編観れてないんですよね。なぜかっていうと、レゴムービー2が公開になったくらいのタイミングで他にも好きな映画作品の続編が公開されていて、それが軒並みダメダメだったんですね(シュガーラッシュとか、パシフィック・リムとか)。で、これでレゴムービーの続編も出来が悪かったらと思うと怖くて仕方なくて、結局いまだに観れてないという体たらく。まあでも仕方ないですよね。本作以上に面白くなるとか普通に想像できないじゃないですか、常識的に考えて。

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ということで、腹括って近々ちゃんと続編見るようにしますので。これが僕の宿題。これを読んでるあなたはまず無印の方を観てきてください。これがあなたの宿題。

約束ですよ。絶対観てね。